2019年9月6日、待望のホラー映画「IT CHAPTER TWO(イット チャプター2)」が公開された。前作「IT」の興行収入は全世界で7億ドルを超え、大ヒットとなった。本作も前作と同様に、原作者スティーブン・キングの小説「IT」を映画化したものである。本稿では、「イットチャプター2」が持つホラー映画の新しい形について取り上げたい。
まず、本作は前作と同じく、ホラー映画の王道である怪物を主題としている。前作では、子供たちを襲う怪物が登場し、子供たちが彼を倒すことで物語が終わった。本作では、27年後の現在、主人公たちが再び大怪物と戦うという展開となっている。怪物を主題とするホラー映画は、それだけで恐怖心をあおることができるが、本作はそこに「幼少期のトラウマ」という新しい要素をプラスした点が注目される。
本作では、主人公たちが27年前に経験したトラウマが、現在の出来事に大きな影響を与えている。例えば、主人公ビルは27年前に弟を失い、現在でもそのトラウマに苦しんでいる。そのため、ビルは怪物との戦いに臨む前に、弟と向き合うことが必要になる。このように、子供時代のトラウマが現在に大きな影響を与えるというアプローチは、ホラー映画に新しい局面をもたらしていると言える。
さらに、本作には、「仲間」という新しい要素が導入されている。27年前、主人公たちは「クラブ」という仲間を結成し、怪物と戦った。現在でも、彼らはその仲間関係を大事にする。このように、「仲間」がストーリーの重要な要素として導入されたのは、単なる恐怖心だけではなく、温かさや感動をもたらすことができるという意図があったと思われる。
また、本作のもう1つの新しい要素として、「タイムジャンプ」というものが導入された。前作では、物語は子供時代を描き、最後に現代に向かってジャンプする形式だった。一方、本作では、物語が並行して進行し、子供時代と現在の出来事が交差する形式を採っている。このようなタイムジャンプの利用は、従来のホラー映画とは明らかに異なり、新鮮な印象をもって観客に迫ることができた。
以上のように、「イットチャプター2」には、ホラー映画にとって新しい要素が導入されている。その要素が、単なる恐怖心だけではなく、温かさや感動をもたらすことができる。これまでのホラー映画の常識にとらわれず、新しい試みをすることで、観客に新たなスリルをもたらすことに成功したと言えるだろう。昨今、ホラー映画の質の向上が求められていたが、この作品がその象徴的なものとなっている。今後も、こういった新しい試みを取り入れたホラー映画が生まれることを期待したい。