十七年前に死んだ許嫁が、伊香保の宿で給仕として現れた。彼女は何も覚えていない。それでも手だけが、覚えていた。
作品の内容
作品の説明
お貞のはなし
十七年前に死んだ許嫁が、伊香保の宿で給仕として現れた。彼女は何も覚えていない。それでも手だけが、覚えていた。
お貞のはなし
越後の新潟に、長尾長生という男がいた。
医者の息子で、物静かな男だった。幼い頃から隣家のお貞と婚約していた。子供の頃から当たり前のようにそこにいた女だった。
お貞は色白で、笑うと少し歯が見えた。怒ると頬が赤くなった。長尾の手を握るとき、いつも少し躊躇ってから握った。
その手のぬくもりを、長尾は覚えていた。
十五の年、お貞は肺を病んだ。秋の終わりに、長尾は呼ばれた。
床に横たわるお貞は、それでも微笑んでいた。
「長尾さま、私きっと戻ります」「この世に、もう一度。あなたのところへ」
長尾は彼女の手を握った。冷たくなりかけていた。それでもぬくもりが残っていた。
「待っている」と長尾は言った。
お貞は目を閉じた。それが最後だった。
長尾は位牌を作り、誓約書を書いた。戻ってきたら必ず迎える、と。判を捺して封をして、位牌の隣に置いた。
それから長尾は、父の勧める女と結婚した。お貞とは違う女だったが、穏やかで賢く、よく笑った。長尾は彼女を愛した。本当に愛した。子が生まれた。小さな手だった。
十年が、幸せに過ぎた。
ある春、妻が熱を出した。夏を越せなかった。その翌年、子も続いた。
長尾は一人になった。
※本作品の校正および一部表現調整において、AIを補助的に使用しています。制作の主体は作者本人です。
※イメージ画像サムネイル画像はAI生成のものを使用しています。
作品の詳細情報
| 販売日 | 2026年03月16日 16時 |
| 年齢指定 | R18 |
| 作品形式 | ノベル |
| ファイル形式 | |
| その他 | AI一部利用 |
| ページ数 | 15 |
| ファイル容量 | 557.36KB |
| タグ | ホラー |
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