十八歳の冬に見た母の胸が、消そうとしても消えない熱として残る、息子の名前のない欲望を描く外伝。
作品の内容



作品の説明
十八歳の冬、脱衣所の扉が少し開いていた。
母さんはパンティーだけを履き、バスタオルを肩にかけ、髪を拭いていた。大きく揺れる胸の下側に、視線が吸い寄せられる。陽太は声を呑んだ。呼んだら、いま見ているものが母さんではなくなる。
それから数年。何人かとはあった。それでも、家へ戻る足は早かった。戻った家に、脱衣所で見た母さんの胸の記憶が残っていた。
最近、母さんの様子がおかしい。声が遅れる。口が赤い。匂いが濃い。陽太はカゴの奥にあった母さんのパンティーを自分の部屋へ持っていった。柔らかい。家の匂いがした。中心が少し硬く、湿っていた。
吸った瞬間、下腹が大きく跳ねる。まぶたの中で、知らない男の手が母さんの肩を押さえる。母さんは自分から後ろへ押す。家の声ではない。奥がねっとり絡みつき、痙攣する。掠れた声は、家の声ではなかった。
陽太はパンティーの匂いを吸ったまま、右手を速く動かす。一度だけ呼ぶ。「母さん……」。
早朝、カゴの中へ戻した。陽太の掌だけが空いた。空いた掌に、パンティーの縁の感触が残っていた。匂いだけが残っていた。左手は洗わなかった。
声の遅れと濃い匂いが、まだ喉の奥にある。掌が空く。喉まで「母さん」が来る。声にはならない。
名前のない熱が、消そうとしても消えない。母さんを女性として見始めた息子の、静かな熱を描く外伝。
※表紙・サムネイル画像にはAIを使用しています。
総文字数:約7200文字
総ページ数:本文24ページ
作品の詳細情報
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